CC Notes

2022年12月31日(1)

というわけで今年も終了です.隣の国が戦争を始めたり,元首相が暗殺されたり歴史の教科書でしか見たことないような事象が印象的でした.

LinuxでSMTをoffにする方法

書いた日: 2022年11月4日

Ryzen 9 5900HXの載ったMini PCのBIOSにSMTを無効化するオプションがなくて途方に暮れていたのですが,別件で調べものをしているときにカーネルパラメータにnosmtがあることを知りました.Grub2でnosmtパラメーターを設定するだけで簡単に無効化できるという.

ベンゼンの構造最適化と振動数計算(B3PW91-D4/def2-TZVPレベル.ORCA 5.0.3)がSMT有効・8コアで138.4秒のところ,SMT無効・8コアでは120.6秒になり,1割弱くらい高速化しました.SMTの有無に関わらず,計算しているとCPUが92℃とかになるので熱がヤバそうです.一応105℃が上限のCPUではありますが.

GAMESS 2022 R2リリース

書いた日: 2022年10月2日

今回のリリースからAMDのコンパイラーAOCCと数値計算ライブラリーAOCLの最新版(v. 3.2.0)に対応しました.EPYC/Ryzenが載ったマシンではIntel oneAPIコンパイラーとMKLを使ったビルドより若干高速に動作しています.

GAS22汎関数

書いた日: 2022年9月11日

3月に紹介したGoogleの機械学習密度汎関数についての論文Science Advancesに正式に掲載されました.

ACアダブターの容量不足

書いた日: 2022年8月14日

Ryzen 9 5900HXが載ったミニPCを買ったのですが,DFT計算を回すとほどなくして電源が落ちるという事象が繰り返し起こりました.今どきのCPUならば冷却不足でもサーマルスロットリングによって動作が遅くなることはあれど,そう簡単には電源断までは行かないはず.そして本体はあまり熱くなっていないのになぜ.

ということで調べたところ,他社製品よりもACアダプターのワット数が小さい(付属品90 W,他社製品120 W)ことが判明.直ちに倍の180 WのACアダブターを購入して交換した結果,1時間フルロードでも電源が落ちることはなくなりました.製品化する際に負荷試験をしていないのだろうか…….

ちなみに液晶として有名な4-シアノ-4'-ペンチルビフェニル(5CB)について,ORCA 5.0.3を使ってr2SCAN-3cレベルでの構造最適化と振動数計算を行うと僅か10分40秒で終わります.速い.

GAMESS 2022 R1リリース

書いた日: 2022年8月11日

リリースノートに書いてないですが,libXC 5.1.7を使うようになりました.

PSI4 1.6.1リリース

書いた日: 2022年7月10日

8個のバグフィックスのみです.

PSI4 1.6リリース

書いた日: 2022年6月3日

5月19日にリリースされていました.GitHub上のリリースノートが詳しいですが,DFTでもIRスペクトルの強度が計算できるようになったのが個人的に大きなところです.

GAMESS 2021 R2 Patch 2リリース

書いた日: 2022年4月27日

Patch 2と言う割にはNew accelerated Hartree-Fock (AHFOCK) code for NVIDIA GPUsが入ったりしているようです.

Googleの密度汎関数GAS22

書いた日: 2022年3月13日

機械学習を利用したDFT汎関数としてはDeepMindのDM21が昨年末に発表されたところですが,GoogleがGAS22(Google Accelerated Science 22)という汎関数を新たに開発し,論文がarXivに収録されました.

この論文で提案されたのは,Symbolic Functional Evolutionary Search(SyFES)という新しいフレームワークを用いて,汎関数の表式を一定の制約のもとで進化させることで,より高精度な汎関数を得るという手法のようです.ニューラルネットですと,どのような計算が行われているかわからないところ,人間に理解できる式の形で汎関数が得られるのがメリットです.また,既存のDFTコードへの汎関数導入も容易になります.

論文では,提案手法でB97交換汎関数が得られることをデモンストレーションした後,ωB97M-V汎関数を進化させてGAS22汎関数を構築しました.得られた汎関数の精度は,トレーニングや検証で用いていないMGCDB84データセットを用いて検討しています.その結果,ωB97M-Vでは誤差が4.237 kcal/molであったところ,GAS22では15%減の3.585 kcal/molになりました.

計算はColab notebookから簡単に実行できます.あるいはColabのコードをそのままコピペするだけで手元のマシンで動かせます.なお,計算の実行にはpyscf 1.7.6, numpy, jax, jaxlibが必要です.例によってDFTが苦手な計算のひとつであるn-オクタンから2,2,3,3-テトラメチルブタンへの異性化反応の計算を実施してみたところ,GAS22/def2-QZVPでの計算結果は-1.07 kcal/molであり,実験値から見積もられた-1.9±0.5 kcal/molに割と近い値を与えました.この計算についてはDM21のほうが高精度(-1.74 kcal/mol)ですが,計算時間がGAS22とDM21とではだいぶ異なります.DM21が半日かかるところ,GAS22は通常のDFTと同じ方法で計算するので20分程度で終わります.

ORCA 5.0.3リリース

書いた日: 2022年2月19日

バグフィックス版です.meta-GGAのB97シリーズ(B97M-V, ωB97M-Vなど)はlibxcの実装を使うようになったのですが,Gradient計算(構造最適化も含めて)でコケるようです.%methodブロックで明示的にlibxcの汎関数を呼び出す必要があります.

2022年2月5日(1)

いろいろスクリプトを書いて自動化すると,いろいろ手動でやる方法を忘れるので微妙.たまに手動でやる必要がある.自動化された新交通システムとかでもたまに手動の訓練しているらしいし.